仕事が多すぎてこなせない…限界サインと退職判断・対処法【完全版】

「仕事が多すぎてこなせない」「もう限界、辞めたい……」 毎日終わらないタスクに追われ、責任感だけでなんとか持ちこたえている状態ではありませんか?

「周りはできているのに、自分だけダメなんだろうか」と自分を責める必要はありません。実は、あなたがキャパオーバーを感じているのは、能力不足や甘えではなく、職場の構造的な問題である可能性が高いのです。

本記事では、働きすぎて倒れてしまう前に知っておくべき「心と体からの危険な限界サイン」と、今の苦しい状況から抜け出すための「正しい退職判断と行動ステップ」を徹底解説します。

上司への具体的な交渉術から、損をせずに会社を辞めるための準備まで。この記事を読み終える頃には、自分を守るための選択肢が明確になり、心の重荷がふっと軽くなっているはずです。どう動けばいいか」が明確に見えているはずです。自分の人生を守るための作戦会議を、ここから始めましょう。

この記事で分かること
  • 「仕事が多すぎる」原因が自分の能力不足ではなく「職場環境」にある客観的な根拠
  • 適応障害やうつ病になる前に気づくべき「脳と体からの危険なSOSサイン」
  • 退職を決断する前に試すべき、上司を納得させる「数字を使った交渉テクニック」
  • 即日退職や失業保険の特例活用など、損をせず自分を守って辞めるための具体的な手順
目次

「仕事が多すぎる」と感じるのはあなただけじゃない

「周りのみんなは普通にこなしているのに、自分だけが遅い気がする……」 そんなふうに自分を責めていませんか? でも、安心してください。あなたが感じているその重圧は、日本のビジネスパーソン多くの共通認識です。

働く人の「8割以上」が強いストレスを感じている

厚生労働省が発表した「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、現在の仕事や職業生活に関することで「強いストレスとなっていると感じる事柄がある」と回答した労働者の割合は82.7%に達しています。

さらに、そのストレスの原因として「仕事の量」を挙げた人は全体の約40%。これは「仕事の失敗・責任の発生」に次いで2番目に多い数字です。つまり、あなたの隣にいる同僚も、涼しい顔をして働いているように見える上司も、実は「仕事が多すぎてパンク寸前」である可能性が高いのです。

なぜ「仕事の量」は減らないのか?

働き方改革で「残業時間の削減」が叫ばれるようになりましたが、現場では「ジレンマ」が起きています。

  1. 時間は減らされたが、業務量は減っていない
    • 「定時で帰れ」と言われるが、タスクの絶対量は変わらないため、密度を上げて働くしかない(=脳の疲労度が増す)。
  2. IT化による「見えない業務」の増加
    • チャットツール(Slack, Teamsなど)の普及で、いつでもどこでも連絡が来るようになり、即レスを求められる「マイクロタスク」が激増しました。
  3. 慢性的な人手不足
    • 少子高齢化で採用が難しくなり、一人当たりの担当領域が強制的に拡大しています。

あなたが「こなせない」のは、あなたの処理能力が低いからではなく、「そもそも一人でこなせる量を超えているから」であるケースが圧倒的に多いのです。まずはこの事実を認識し、自分を責めるのをやめましょう。

仕事が自分ばかりに押し付けられて増えていく4つの原因

同じ部署で働いているのに、定時でサッと帰れる人と、毎晩遅くまで残業している自分がいる。 ふと周りを見渡して、なんで自分だけこんなに忙しいんだろうと不思議に思ったことはありませんか。

要領が悪いからだとか、自分の仕事が遅いからだと自分を責めてしまう人もいますが、実はそうではありません。 特定の誰かだけに仕事が偏ってしまうのには、会社ならではの仕組みや、いくつかのパターン化した理由が隠れています。気がつくと仕事が山積みになってしまう4つの原因について紹介します。

1. 頼まれると断れない性格が利用されている

責任感が強くて優しい人ほど、実は損をしてしまうことが多いです。 なぜあなたにばかり仕事が集まってくるのか、その流れはとても単純です。

  • 自分の仕事があっても「いいですよ」と引き受けてしまう
  • 周りは「あの人は頼めばやってくれる」と味をしめる
  • 面倒な仕事や急ぎの案件が、真っ先にあなたの元へ来るようになる

こうなると、優秀だから頼られているというよりも、都合の良い人として利用されている可能性が高いです。

仕事というのは不思議なもので、断らない人のところへ磁石のように吸い寄せられていく性質があるのです。

2. 仕事の担当範囲があいまいで決まっていない

自分の仕事はここまで、という線引きがない会社では、誰がやるのか決まっていない仕事がたくさん出てきます。

たとえば、こんな「名前のない仕事」です。

  • 電話に出る
  • 備品の補充や掃除
  • 新人の世話

こういう職場では、どうしても「気づいた人がやる」という流れになってしまいます。 その結果、次のような不公平な状態が生まれます。

【よく気がつく優秀な人】 こぼれ落ちた仕事を全部拾うことになり、どんどん忙しくなる

【周りを気にしない人】 自分の仕事だけしていればいいので、ラクをして得をする

3. 上司が仕事を割り振るのをサボっている

上司も忙しくて余裕がないため、「誰に頼もうかな」と考えるのをやめてしまっています。

その結果、上司の頭の中と、あなたに起きている現実にはこんなギャップが生まれます。

上司が考えていることあなたに起きていること
考えるのが面倒くさい
誰に振るか迷う時間がないから、とりあえず頼みやすい人に渡そう。
仕事が集中する
文句を言わずに引き受けてくれるあなたにだけ、仕事が山積みになる。
報告がない=順調だ
何も言ってこないということは、問題なく回っているんだろう。
限界まで放置される
残業時間がとんでもないことになっていても、見て見ぬふりをされる。

4. 人が辞めても新しい人が入ってこない

人が辞めたのに補充されない「欠員放置」。

ここであなたが責任感を発揮して頑張ってしまうと、会社側はとんでもない勘違いをします。

あなたの行動会社の勘違い
穴埋めのために必死で頑張る
「みんなが困らないように」と無理をして今の人数で仕事を回す。
「なんだ、人はいらないじゃん」
補充しなくても現場が回っているから、このままで大丈夫だと思い込む。
倒れるギリギリまで耐える
文句も言わずに長時間労働でカバーし続ける。
「人件費が浮いてラッキー」
あなたの犠牲には気づかず、コストが下がったことだけを喜ぶ。

「仕事をこなせない」は脳からのSOS!絶対に見逃してはいけない危険サイン

「最近、仕事の効率が落ちている気がする」 それは単なる疲れではありません。脳と体が「これ以上は無理!」と悲鳴を上げているサインです。以下の症状に3つ以上当てはまる場合、あなたはすでに「適応障害」や「うつ状態」の入り口に立っている可能性があります。

【危険度チェックリスト】

A. 脳・思考の変化

  • [ ] メールの返信を打つのに、以前の倍以上の時間がかかる
  • [ ] PCの画面を見つめたまま、数分間フリーズすることが増えた
  • [ ] 簡単な計算ミスや、予定のダブルブッキングなど、ありえないミスをする
  • [ ] 「優先順位」がつけられず、何から手をつけていいかわからない

B. 感情・行動の変化

  • [ ] 朝、会社に行こうとすると腹痛や吐き気がする
  • [ ] 通勤電車の中で、勝手に涙が出てくる
  • [ ] 好きだった趣味(ゲーム、読書、映画など)すら「億劫」に感じる
  • [ ] 「消えてしまいたい」「事故に遭えば会社に行かなくて済む」と考える

C. 身体の変化

  • [ ] 夜中に何度も目が覚める、または朝早く目覚めて二度寝できない
  • [ ] 食欲がない、または過食が止まらない
  • [ ] 休日にいくら寝ても疲れが取れない(鉛のように体が重い)

特に危ないのは「不眠」と「感情失禁」

厚生労働省の「国民健康・栄養調査(令和4年)」によると、睡眠時間が6時間未満の人は40代男性で45.8%、40代女性で44.6%と、働き盛り世代の半数近くが睡眠不足です。しかし、「眠りたいのに眠れない(中途覚醒・早朝覚醒)」は、ストレスによる自律神経の乱れを示す顕著なサインです。

また、「涙が勝手に出る」のは、感情をコントロールする前頭葉の機能が麻痺している証拠。これは「今すぐ休め」の赤信号(レッドカード)です。この段階で無理を続けると、回復までに数ヶ月〜年単位の時間を要する深刻なメンタル不調に陥るリスクがあります。

退職を決める前に「最後に試すべき」3つの行動ステップ

心身の限界サインが出ておらず、まだ「もう少しなら頑張れるかも」という余力が残っている場合、即退職の前に「環境を変えるアクション」を起こしてみましょう。 ただし、これは「会社のため」ではなく、「あなたが納得して次のステップに進むため」の実験です。

ステップ①:上司に「感情」ではなく「数字」で交渉する

「仕事がつらいです」という感情的な訴えは、上司に「甘え」と受け取られがちです。ビジネスの現場では、「客観的なデータ」だけが交渉材料になります。

【効果的な相談の切り出し方(例)】

NG例

「最近仕事が多くてしんどいです。もう少し減らしてください。」 (上司の反応:みんな辛いんだよ、頑張ってくれ。)

OK例(事実ベース)

「現在の業務量についてご相談があります。現在、A案件とB案件で月間◯時間の工数がかかっており、過去3ヶ月の平均残業時間が◯時間を超えています。 このままではミスの誘発や納期の遅延など、チームに迷惑をかけるリスクがあります。 つきましては、C業務を他の方に分担いただくか、D案件の納期を2週間後ろ倒しにできないか、調整をお願いできませんか?」

ポイントは「組織のリスク」として伝えること。「私がつらい」ではなく「このままだと仕事が回らなくなる(上司の管理責任が問われる)」という文脈で話すと、上司も動きやすくなります。

ステップ②:タスクの「断捨離」と「冷凍保存」

すべての仕事を100点満点でこなそうとしていませんか? 仕事には「今すぐやるべきこと」と「実はやらなくていいこと」があります。

【アイゼンハワー・マトリクスで仕分け】
  1. 緊急かつ重要: 今すぐやる(例:クレーム対応、今日の締切)
  2. 重要だが緊急でない: 時間を決めてやる(例:企画書作成)
  3. 緊急だが重要でない: 人に任せる / 質を下げる(例:定例会議、丁寧すぎるメール返信)
  4. 緊急でも重要でもない: やめる / 無視する(例:付き合いの飲み会、過剰な資料の体裁整え)

特に「3」と「4」を徹底的に削りましょう。メール返信はテンプレート化する、資料は「60点の出来」で一度提出してフィードバックをもらうなど、「完璧主義」を捨てる勇気があなたの時間を生み出します。

ステップ③:周囲を巻き込み「共有」する

リモートワークなどで見えにくくなっていますが、チャットツールやカレンダーで「今、自分が何を持っているか」を可視化して発信しましょう。 「現在、◯◯件のタスクを抱えており、新規の依頼は来週以降の着手になります」と、自分の状況をオープンにする(予告する)だけでも、無茶な振られ方は減ります。

ここまで試してもダメなら、もう「辞めていい」

上記のステップ①〜③を試しても、以下のような反応なら、その職場に未来はありません。

  • 上司が「工夫して頑張れ」と精神論しか言わない
  • 「評価を下げるぞ」と脅してくる
  • 一時的に減っても、すぐに元に戻る

あなたが変わる努力をしたのに、環境が変わらないなら、次は「場所を変える」番です。

ここからは、いよいよ「失敗しない退職の進め方」と「自分を守るための具体的な手続き」について解説していきます。退職は「逃げ」ではなく、より良い人生を選ぶための「戦略的撤退」です。

仕事を辞めるのは逃げじゃない!罪悪感を捨てて自分を守る決断をしよう

ここで辞めたら、他の会社に行っても通用しないんじゃないか。 急に辞めたら、残された同僚たちに迷惑をかけてしまって申し訳ない。

責任感が強くて真面目な人ほど、そんなふうに自分を責めて、辞めることへの罪悪感でいっぱいになってしまいます。

でも、これだけは覚えておいてください。 会社にとっては、あなたの代わりになる人はいくらでも見つかります。 求人を出せば、新しい人がやってきて仕事はなんだかんだと回っていくものです。

けれど、あなたの代わりになる人は、この世の中にひとりもいません。 あなたが倒れてしまったとしても、会社はあなたのその後の人生の責任までは取ってくれないのです。

自分の心と体を守るために会社を離れることは、決して逃げることではありません。 それは、自分自身を守るための立派な「防衛策」なのです。

「とりあえず3年は頑張れ」という言葉は忘れていい

昔からよく、石の上にも三年と言われます。 どんなに辛くても、とりあえず3年は我慢して続けたほうがいいという考え方です。 でも、これは心も体も元気なときにだけ通用する、ひと昔前の価値観にすぎません。

今のあなたのように、心が悲鳴を上げている状態で、その言葉を無理に守る必要はどこにもありません。 もし無理をして働き続けて、うつ病や適応障害になってしまったら、次のような大きなリスクを背負うことになってしまいます。

  • 病気が治って元気になれるまでに、半年から数年もかかってしまう
  • 働けない期間が長引いて、そのぶんのお給料が入らなくなる
  • 通院や薬代がかかり続け、治療費がどんどん出ていく

壊れるまで我慢して、たくさんの大切な時間とお金を失ってしまう。 それよりも、壊れてしまう前にその場を離れることのほうが、ずっと賢くて正しい判断です。

これからの長い自分の未来を守るために、勇気を持って撤退を選んでください。

後悔しないための「退職準備」完全ロードマップ

勢いで辞表を叩きつけるのもドラマチックですが、生活を守るためには冷静な準備が必要です。以下の3ステップで進めましょう。

ステップ①:退職の意思表示は「1ヶ月前」がベスト

民法第627条では「退職の申し出から2週間で雇用契約を終了できる」と定められています。法律上は2週間前でOKですが、引継ぎや有給消化、円満退職を考慮すると「1ヶ月〜1.5ヶ月前」に伝えるのが大人のマナーであり、最もトラブルが少ない期間です。

【上司への切り出し方・台本】

アポ取り:

「〇〇課長、今後のことでご相談したいことがあります。明日の午後、15分ほどお時間をいただけないでしょうか?(会議室など個室を希望)」

本番:

「突然のお話で恐縮ですが、〇月末をもって退職させていただきたいと考えております。

自身のキャリアや体調面をじっくり考えた結果、別の環境で挑戦したいという決意が固まりました。

業務の引き継ぎについては、〇〇さんと相談の上、責任を持って行います。」

ポイント
  • 「相談」ではなく「報告」をする: 「辞めてもいいですか?」と聞くと引き止められます。「辞めます」という決定事項として伝えてください。
  • 退職理由は「個人的な理由」で通す: 「仕事が多すぎる」と言うと「減らすから」と引き止められます。「やりたいことがある」「体調を優先したい」など、会社側が解決できない理由にするのが鉄則です。

ステップ②:在職中に「転職活動」を始める

「辞めてからゆっくり探そう」は、精神衛生上おすすめしません。貯金が減っていく恐怖で焦り、また同じようなブラック企業に飛び込んでしまうリスクがあるからです。

今はWeb面接が主流なので、在職中でも昼休みや夕方に面接を受けることは十分可能です。

ステップ③:有給休暇は「権利」!全て消化して辞める

日本人の多くが有給を残して退職しますが、これは「数十万円をドブに捨てている」のと同じです。

例えば月給30万円(日給換算 約1.5万円)の人が20日分の有給を残すと、約30万円の損失です。

  • 退職日を「最終出社日+有給残日数」の後に設定する。
  • 引き継ぎスケジュールに「有給消化期間」を最初から組み込んでおく。

これがプロの辞め方です。

もう会社に行けないなら「退職代行」を使って即日で辞めてもいい

「上司が怖くて、どうしても辞めたいと言い出せない。」「辞めるなら損害賠償を請求してやると脅されている。」「朝起きると、どうしても体が動かなくて会社に行けない。」

もし今、こんなギリギリの状態にいるのなら、無理をして出社する必要はありません。会社に行かずに、誰とも会わずに辞めることができる、退職代行サービスという便利な仕組みを頼ってください。

お金を払って人に頼むなんて、と罪悪感を持つ必要はありません。自分ひとりではどうにもならない状況からあなたの心と命を守るための正しい手段のひとつです。

退職代行を使うとこんなメリットがあります

退職代行にお願いすると、あなたの代わりに退職の手続きをすべて進めてくれます。

具体的には、次のようなメリットがあります。

  • 上司と顔を合わせずに今日から辞められる今日依頼して、そのままずっと会社に行かずに退職できます。気まずい思いをして挨拶回りをする必要もありません。
  • 会社からの電話に出なくていい会社とのやりとりはすべて代行業者が窓口になってくれます。あなたのスマホに着信があっても、出る必要はありません。
  • 郵送だけですべての手続きが終わる退職届を出したり、制服や保険証を返したりするのも、すべて郵送で完了します。
  • 残っている有給休暇を消化できる労働組合や弁護士が運営しているサービスなら、残っている有給をすべて消化してから辞めるように交渉してくれます。

失敗しない退職代行サービスの選び方とおすすめ3選

退職代行サービスはたくさんありますが、どこでもいいわけではありません。業者選びを間違えると、会社側から「本人から連絡させろ」と言われて失敗してしまうトラブルも起きています。

選ぶときは、必ず「労働組合」か「弁護士」が運営しているところを選んでください。

この2つなら、会社と交渉する権利を法律で持っているので安心です。それぞれの特徴を表にまとめましたので、自分の状況に合うものを選んでみてください。

サービス名料金の目安(税込)特徴・こんな人におすすめ運営しているところ
退職代行SARABA24,000円迷ったらここがおすすめ
24時間いつでもすぐに返信が来ます。
労働組合がやっているので、有給の交渉もできて追加料金もかかりません。
労働組合
弁護士法人みやび55,000円〜トラブルが心配な人向け
残業代が支払われていない、損害賠償の話が出ているなど、法的なトラブル解決まで頼みたいときに最適です。
弁護士
わたしNEXT29,800円女性専用のサービス
女性特有の悩みに寄り添って、丁寧にサポートしてくれます。
転職サポートを使うとお金が戻ってくる特典もあります。
労働組合

ここでひとつだけ注意点があります。民間企業が運営している1万円台などの格安サービスは避けたほうが無難です。法的に会社と交渉することができないため、会社側が強気に出てくると何もできなくなってしまいます。安物買いの銭失いにならないよう、しっかりした運営元を選びましょう。

体調不良で辞めるなら知っておきたい!失業保険をすぐにもらう方法

会社を辞めたあとにハローワークでもらえる失業保険について、知っておくと得するルールがあります。通常、自分の意志で辞める自己都合退職の場合、失業保険がもらえるまでに2ヶ月ほどの待ち時間があります。

でも、仕事が多すぎて体調を崩してしまったようなケースでは、ある条件を満たすと「特定理由離職者」という特別な扱いになります。

これに認められると、7日間の待期期間を過ぎれば、すぐに失業保険を受け取ることができるようになります。貯金が不安ですぐに次の仕事を探さないといけない、と焦らなくて済むので、ぜひ確認しておいてください。

すぐに失業保険がもらえるようになる2つの条件

次のどちらかに当てはまる場合は、特定理由離職者として認められる可能性があります。

  • 心や体に不調がある場合会社を辞める日より前に、心療内科などの病院へ行ってください。そこで、お医者さんに「仕事のせいで体調が悪いため、休養が必要です」といった内容が書かれた診断書をもらっておきましょう。ハローワークで手続きをするときにこの診断書を出すと、病気が理由での退職として扱ってもらえます。
  • 残業時間が多すぎる場合辞める直前の3ヶ月間で、毎月45時間を超える残業が続いていた場合も対象になります。タイムカードのコピーや給与明細など、長時間働いていたことがわかる証拠を持っていけば、会社都合で辞めたのと同じ扱いになります。

この制度を知っているだけで、退職したあとの生活費の心配がぐっと減ります。

勢いで辞めてしまう前に必ず病院に行って診断書をもらったり、勤怠記録をスマホで撮影したりして証拠を手元に残しておきましょう。

次こそ失敗しない!転職先選びで「仕事量が適正な会社」を見抜くコツ

せっかく勇気を出して転職したのに、次もまた激務の職場……という「ブラック企業ホッピング」は絶対に避けなければなりません。面接や情報収集で、以下のポイントを必ずチェックしてください。

① 面接での「逆質問」で地雷を踏まないように聞く

面接官にストレートに「残業はありますか?」と聞くと印象が悪くなる不安がありますよね。そこで、「やる気を見せつつ実態を探る」聞き方を使いましょう。

  • 「私は集中して業務に取り組み、生産性を上げたいと考えています。御社の社員の皆様は、平均して何時頃に退社されていますか?」
  • 「1日のタイムスケジュールのイメージを掴みたいのですが、所属予定のチームの皆様の標準的な1日の流れを教えていただけますか?」
  • 「今回募集されているポジションは、増員募集でしょうか? それとも欠員補充でしょうか?」
    • ※「急な欠員補充」で「未経験OK」の場合、前任者が激務で逃げ出した可能性が高いです。

② 「人」ではなく「仕組み」があるか確認する

仕事が特定の人に偏らない会社は、必ず「マニュアル」や「業務フロー」が整備されています。

「業務のマニュアル化や、ナレッジ共有の仕組みはありますか?」と聞いてみましょう。「これから作る予定」「OJT(見て覚えろ)」という回答ばかりの会社は、属人化しているリスク大です。

③ 口コミサイトで「退職者」の声を深掘りする

「OpenWork(オープンワーク)」や「転職会議」などの口コミサイトを確認しましょう。見るべきポイントは、「退職理由」の欄です。

  • 「トップダウンで業務が降りてくる」
  • 「人が辞めても補充されない」
  • 「ワークライフバランスは皆無」

こうした書き込みが直近1年以内に複数ある場合、その会社の体質は変わっていません。絶対に避けましょう。

まとめ:自分を責めるのはもう終わり。あなたの人生を取り戻そう

仕事が多すぎてこなせないのは、あなたの努力が足りないからではありません。自分を責めて、心が壊れてしまう前に、立ち止まる勇気を持ってください。

記事でお伝えした通り、無理をして働き続けるよりも、まずは自分の健康を守ることが何より大切です。退職は決して「逃げ」ではなく、あなたが笑顔で過ごせる人生を取り戻すための、前向きなリスタートです。

失業保険や退職代行など、あなたを守ってくれる制度はたくさんあります。世の中には、あなたが安心して働ける場所が必ずありますから、どうか、会社のためではなく、あなた自身の幸せを一番に考えて、新しい一歩を踏み出してくださいね。

「仕事が多すぎて辞めたい」人が抱える不安を解消!よくある質問(FAQ)

記事を読んでもまだ決断に迷いがある方や退職前後の具体的な手続きについてさらに詳しく知りたい方のために、よくある質問をQ&A形式でまとめました。あなたの不安を一つずつ解消していきましょう。

仕事が多すぎて毎日つらいです。どうすればいい?

まずは「休む」ことを最優先に考えましょう。体と心が限界の状態では、冷静な判断ができません。1日でも休めば、状況を客観的に見られるようになります。それでも改善が見込めない場合は、上司や人事、外部の相談窓口に相談するのが効果的です。

「仕事が多すぎる」という理由で退職するのは、甘えではありませんか?

決して甘えではありません。立派な退職理由です。 仕事量は、個人の努力で解決できる範囲を超えていることが多々あります。特に、心身に不調をきたすレベルの業務量は、企業のマネジメント不足(安全配慮義務違反)の可能性があります。「甘え」と自分を責めて倒れてしまうよりも、健康なうちに環境を変える判断ができることこそ、プロとして正しい選択です。

退職を伝える勇気が出ません。どうすればいい?

退職を伝えるのは勇気がいることです。しかし、「伝える=迷惑をかける」ではありません。自分の健康を守る行動は、誰にとっても正しい選択です。どうしても直接言えない場合は、退職代行を利用する方法もあります。

面接で退職理由を「仕事が多すぎたから」と伝えてもいいですか?

そのまま伝えるとマイナス評価になるため、言い換えが必要です。 単に「忙しすぎたから」と伝えると、「忍耐力がない」と誤解されるリスクがあります。以下のようにポジティブに変換して伝えましょう。

  • 言い換え例: 「前職では業務量が著しく多く、質より量をこなすだけの作業になりがちでした。私は一つひとつの仕事の質を大切にし、顧客により高い価値を提供したいと考え、御社のような業務効率化が進んでいる環境を志望しました。」

このように「より良い仕事をするための転職」であることを強調するのがコツです。

上司に「今辞められたら困る」「無責任だ」と引き止められたら?

「困る」のは会社の都合であり、あなたの責任ではありません。 人員配置を行うのは会社の責任です。あなたが辞めて現場が回らなくなるなら、それは経営陣や管理職のマネジメントミスです。 法律上、退職の意思表示をしてから2週間(※就業規則等で1ヶ月の場合もあり)経過すれば、会社の合意がなくても退職は成立します。「引き継ぎは最大限努力しますが、退職日は変更できません」と毅然とした態度で伝えましょう。

試用期間中でも、仕事が多すぎることを理由に辞められますか?

試用期間であっても、労働者には退職の自由があります。「入社前の説明と実際の業務量や労働条件が大きく異なる」場合は、即日解約ができるケースもあります(労働基準法第15条)。 無理に続けて経歴を汚すよりも、早めに見切りをつけて「自分に合う会社」を探し直す方が、長期的なキャリアへのダメージは少なくて済みます。

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この記事を書いた人

はじめまして。「職場の悩み解決部」管理人のキコです。
30代の共働き主婦で、現在は子育てと仕事を両立しながら日々奮闘しています。

これまで何社か経験してきましたが、
どの職場でも人間関係や仕事のプレッシャーに悩むことばかり。
とくに、家庭と仕事の両立で疲れているときに、
職場で心ないひと言をかけられると、ほんとうに心が折れそうになりました。

「もう辞めたい…でも家庭もあるし簡単には動けない」
そんなふうにモヤモヤしながら過ごす毎日は、
想像以上にストレスがたまるものですよね。

このサイトでは、
●今の職場で少しでも心がラクになるヒント
●いざというときに使える退職や転職の知識
など、私自身が悩んだときに「こういう情報がほしかった!」と感じたものをまとめています。

もし、今あなたが
「もう頑張れないかも」「誰かに背中を押してほしい」
と思っているなら、転職や退職代行も立派な選択肢です。

まずは情報を知っておくだけでも、気持ちがラクになることってありますよ。

あなたの毎日が、少しでも笑顔に近づくように。
このサイトが、そっと寄り添える存在になれたらうれしいです。

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