添乗員の仕事は本当にきつい？辞めたくなる理由と向いてる人の特徴

「添乗員って、旅ができて楽しそう」…そう思って目指す人は多いですよね。でも実際に働いてみると、「あれ？想像以上にきついかも…」とギャップを感じることも。ツアーを陰で支える存在として、笑顔の裏には想像以上の苦労があるのも事実です。この記事では、添乗員のリアルな仕事内容や辞めたくなる理由、続けられる人の特徴までをわかりやすく紹介します。転職やキャリアを考えている方のヒントになれば嬉しいです。

添乗員の仕事がきついと言われる理由

添乗員は華やかな旅のイメージとは裏腹に、長時間労働・精神的負荷・報酬の低さといった厳しい現実に直面する職業です。特に若手の離職率も高く、「やりがいよりも辛さが勝ってしまう」という声も少なくありません。では、具体的にどんなところが「きつい」と言われるのでしょうか？

拘束時間が長く不規則な勤務が多い

添乗員の仕事でまず驚くのが「拘束時間の長さ」です。ツアー当日は早朝から集合し、飛行機や新幹線の移動中も参加者の対応をしながら、夜遅くのホテル到着後もその日の報告や翌日の準備をします。日をまたぐ移動や深夜のトラブル対応もあるため、実質24時間体制で気が抜けないのが実情です。

たとえば、朝5時にホテルを出発して観光地を巡り、夕方に移動、夜は宴会やイベント同行…といったスケジュールもざら。その合間にも、交通手段の確認、施設との連携、食事の手配、参加者からの質問や要望への対応など、やるべきことが途切れません。

さらに勤務時間が「何時間」と明確に区切られていないのも大きなストレス要因。旅行会社や派遣会社の契約にもよりますが、法的な労働時間管理が曖昧なこともあり、サービス残業や休日出勤も発生しがちです。身体的疲労だけでなく、「いつ休めるのか分からない」精神的な負担も重なります。

ツアー中は24時間体制で対応が求められる

添乗員にとって「仕事の終わり」は曖昧です。食事の場では料理の出し忘れや席の確認、宿泊施設ではトラブルの初期対応が求められ、自由時間も気が休まりません。特に海外ツアーでは、時差や言語の壁、現地スタッフとの調整など、日本以上に神経を使う場面が多くなります。これが連日続くとなると、体力だけでなく精神力も相当消耗します。

クレーム処理やトラブル対応でメンタルが削られる

添乗員の仕事で精神的にきついと言われるもう一つの理由が「クレーム処理」と「現場でのトラブル対応」です。旅行という非日常の空間では、お客さんも期待が高まっている分、ちょっとしたミスや予定変更が大きな不満につながりやすいんです。

たとえば、「バスの到着が5分遅れただけで怒鳴られた」「レストランのメニューにアレルギー対応がなかったと激怒された」「トイレが汚かったと不機嫌になられた」など、一見些細なことでも感情的なクレームに発展することがあります。

添乗員はその場で冷静に対応し、謝罪しながらも次のスケジュールを進めていかなければなりません。自分の責任ではなくても、矢面に立たされることが多く、「なんで私が謝らなきゃいけないの…？」とストレスを感じる人も少なくないでしょう。

また、急な天候不良や交通機関の遅延、施設の突然の休業など、予測できないトラブルも多発します。そういった場面でも、代替案を即座に出し、参加者に納得してもらう交渉力が求められます。ツアーの満足度に直結するだけに、プレッシャーは相当なものです。

理不尽な客対応も日常茶飯事

「なんでそんなことで怒るの？」と思ってしまうようなクレームも、添乗員にとっては日常茶飯事です。たとえば、「ホテルのベッドが硬い」「観光地が思ったよりしょぼい」「土産物屋で値切れなかった」といった事柄まで、不満の矛先が添乗員に向けられることも…。たとえ旅行会社や現地の事情であっても、お客様からすると「言いやすい相手＝添乗員」になってしまうんですね。

もちろん、全員が理不尽なわけではありませんが、日々こういった対応が続くと「自分の気持ちがすり減っていく」感覚に襲われます。心の健康を保つためにも、自分を責めすぎず、上手に感情のバランスを取るスキルも求められます。

報酬が低く、働き損と感じやすい

添乗員の仕事が「きつい」と言われる大きな理由のひとつが、労働に見合った報酬が得られにくいこと。実際、多くの人が「これだけ働いてこの給料？」と疑問を抱きます。特に新人のうちは、1日1ツアーの手当だけで月収15〜20万円未満というケースも珍しくありません。

求人情報サイトや業界団体の調査によると、添乗員の平均年収は約280万〜330万円程度。これはフルタイムで働いた場合の平均で、パート契約やツアーごとの日当制で働く人の多くは、それ以下になることもあります。

さらに問題なのが、ツアー1本での報酬には「準備・移動・待機・クレーム対応」など、ツアー時間外の業務がほとんど反映されないことです。表面上の拘束時間より、実際にはるかに長く働いているのに、給与明細にはそれが反映されない…。これでは「割に合わない」「モチベーションが下がる」と感じてしまうのも無理はありません。

また、添乗員には「ランク制度」を設けている会社も多く、新人はしばらく低い手当しかもらえない仕組み。評価されて初めて単価が上がるケースが多く、報酬アップまでに時間と実績が必要です。頑張りがすぐ収入に反映されないのは、かなりのストレス要因になります。

平均年収と労働時間のギャップが大きい

たとえば月20日以上勤務しても、移動・準備・対応にかかった時間を含めて時給換算すると、1,000円を下回ることもあります。加えて、閑散期にはツアー自体が少なくなり、収入が不安定になるのも悩みのタネ。特にインバウンド需要や情勢に左右されやすいため、「生活を安定させにくい職業」とも言われます。

頑張っても給料が上がらない、かといって転職しても経験が評価されづらい…。そんな葛藤を抱えたまま働き続けると、「もう限界」と感じてしまうのも自然な流れです。

それでも続ける人の特徴とは？

ここまで読んで、「やっぱり添乗員はきつそう…」と思った方もいるかもしれません。それでも、この仕事を長く続けている人もたくさんいるんです。では、どんな人が添乗員に向いていて、厳しい環境でもやりがいを感じられるのでしょうか？ここでは、添乗員という仕事に適性のある人の特徴を紹介します。

旅や人とのふれあいが心から好きな人

まず大前提として、「旅が好き」「人と接するのが楽しい」と感じる人は、添乗員の仕事を楽しめる傾向があります。たとえハードなスケジュールでも、自分の「好き」が原動力になって乗り越えられるんです。

たとえば、「初めて訪れる土地にワクワクする」「お客様と旅先での思い出を共有するのが嬉しい」「観光地でのガイドや豆知識を語るのが楽しい」といった気持ちは、添乗員として働くうえで大きな強みになります。

実際、ベテランの添乗員の中には「お客様の“楽しかった！”のひと言のためにやっている」という方も少なくありません。体力的にはきつくても、「この仕事でしか味わえない喜びがある」と語る人は多いです。

旅先では、笑顔と感謝の言葉をもらえることもたくさんあります。そんな瞬間にやりがいを感じられる人は、どんなに大変でも前向きに取り組めるのです。もちろん「旅好き」だけでは続かない面もありますが、その情熱は添乗員にとって最大のエネルギー源と言えるでしょう。

トラブルを前向きに捉えられるタイプ

添乗員の仕事は、思い通りにいかないことの連続です。交通機関の遅延や天候不良、現地スタッフとの連携ミスなど、予想外のトラブルが日常茶飯事。そのとき、どう対応するかが添乗員としての適性を大きく左右します。

向いている人は、そうしたトラブルを「ピンチ」ではなく「やりがい」と捉えられるタイプ。「なんとか乗り切ったときの達成感がたまらない」「お客さんに喜んでもらえたときに自分の存在意義を感じる」という人は、逆境にも強く、現場で頼られる存在になります。

たとえば、急な雨で屋外観光が中止になったとき、「別の室内スポットを提案しよう」「皆さんに安心してもらえるよう、まずは笑顔で声がけしよう」と臨機応変に動ける人は、添乗員としてとても優秀です。

逆に「イレギュラーに弱い」「段取りが狂うとパニックになる」という人には、この仕事はかなりしんどく感じるかもしれません。添乗員はマニュアルどおりにいかない状況をいかに自分の判断で切り抜けるかが問われる職業。だからこそ、「想定外を楽しめるマインド」がとても大切です。

冷静さとユーモアが武器になる

「うまくいかなくても、笑顔で乗り切る」これは多くのベテラン添乗員が持っている共通点です。怒ったところで状況が好転するわけではなく、むしろ周囲に不安や苛立ちを伝播させてしまいます。そんなときに、少しでも場を和ませる言葉や態度が取れる人は、自然と信頼され、トラブルすら「思い出」に変えられる存在になります。

自己成長や非日常の刺激を楽しめる人

添乗員の仕事には「ルーティンワークでは味わえない刺激」がたくさんあります。毎回違うお客様、行き先、トラブル…。変化の連続だからこそ、日々新しい発見や学びがあり、そこに面白さを感じられる人にはぴったりの仕事です。

たとえば、観光地の新たな魅力を知ったり、外国語での会話にチャレンジしたり、ツアー全体を通して自分なりに工夫してスムーズに運営できたときなど、自信や達成感が自然と積み重なっていきます。

また、「毎回ゼロから人間関係を築く」ことにも、コミュニケーション能力の向上や気配り力の磨きが必要です。こうした積み重ねが、どんな職場でも通用する“対人スキル”や“問題解決能力”として、自分自身の成長につながっていきます。

現場では自分の判断で動くことも多く、「この対応でいいのか？」「どう伝えれば伝わるか？」など、瞬時の判断が求められる場面も多々あります。それを繰り返すことで、プレッシャーに強くなったり、自分なりの仕事の流儀ができてきたり…。まさに“現場で育つ”タイプの仕事と言えるでしょう。

成長を実感できる瞬間があるから続けられる

「あの頃は右も左も分からなかったのに、今はお客様の顔色を見て先回りできるようになった」…そんなふうに自分の成長を実感できるのは、添乗員ならではの喜びです。最初はプレッシャーや失敗も多いですが、それを乗り越えた経験こそが、仕事の醍醐味として残ります。どんな困難も「自分を鍛えるチャンス」と捉えられる人には、まさに天職かもしれません。

辞めたいと感じたら考えるべきこと

「添乗員の仕事、もう無理かも…」そんな思いがよぎったとき、まずは感情的に辞める前に、自分自身の状況や気持ちを整理してみましょう。続けるか辞めるかの判断には、心と体の状態、将来の展望、今後の生活の安定など、冷静な視点が必要です。ここでは、辞めるかどうかを判断するうえで確認しておきたいポイントを紹介します。

心身に限界が来ていないか見直す

まず最初に確認したいのが「心」と「体」の状態。実は、自覚のないままストレスが限界に近づいているケースも少なくありません。「毎朝起きるのがしんどい」「仕事中に涙が出そうになる」「人と話すのが怖い」といった状態が続いているなら、要注意です。

また、身体面でも不調が出ているなら危険信号。慢性的な頭痛、胃の痛み、めまい、過呼吸などは、心のSOSとして現れることがあります。放置してしまうと、うつ症状やパニック障害など深刻な事態になるリスクもあります。

仕事の責任感が強い人ほど、「これくらい平気」と無理をしてしまいがちです。でも、無理を重ね続けることで取り返しのつかないことになっては本末転倒ですよね。まずは自分の体調とメンタルの状態を、しっかり見つめ直すことが大切です。

体調不良・睡眠不足・感情の抑え込みがサイン

添乗員は笑顔で対応することが求められる職業。でもその笑顔が、「無理して作ったもの」になっているなら要注意です。無意識に本音を抑え込んでいたり、自分の気持ちに蓋をしてしまっていると、いつか心が折れてしまいます。「最近、笑えていないかも」と気づいたら、それは立ち止まるべきサインかもしれません。

転職や他業種への選択肢を視野に

心身に限界を感じている、仕事へのやりがいが見いだせない…。そんなときは、無理に添乗員を続けるのではなく、転職や異業種へのキャリアチェンジも視野に入れることが大切です。「辞める＝逃げ」ではなく、「自分に合った場所を探す第一歩」と考えてみましょう。

添乗員として培ったスキルは、他の職種でも活かせるものがたくさんあります。たとえば、計画力・段取り力・クレーム対応・語学力・対人スキルなどは、接客業、営業職、カスタマーサポート、旅行関連の事務職など、幅広い業界で求められる力です。

たとえば、旅行会社の内勤にキャリアチェンジすれば、ツアーの企画・調整などの業務に携わりながら、現場経験を活かすことができます。語学力がある方なら、外資系企業やインバウンド対応のポジションでも重宝されるでしょう。

また、近年では「添乗員からキャリアカウンセラーへ」「観光業からWEBライターへ」といった異業種転職の事例も増えています。人と関わる仕事の経験があるからこそ、人の気持ちに寄り添う職種へと自然なキャリアチェンジを果たす人も多いです。

観光業で培ったスキルは他でも活かせる

「添乗員しかやってこなかったから不安…」と感じる方もいるかもしれません。でも、あなたが日々こなしてきた対応力、調整力、コミュニケーション力は、どんな業界でも評価される財産です。無理して心と体を壊す前に、自分の可能性を広げる選択肢を持ってみてくださいね。

添乗員の仕事で得られるものと、失いやすいもの

どんな仕事にもメリットとデメリットはありますが、添乗員の仕事も例外ではありません。「きつい」と言われる反面、それでもこの仕事を愛する人がいるのは、それなりの理由があるからです。ここでは、添乗員という仕事を通じて得られるものと、反対に犠牲にしやすいものを整理してみましょう。

やりがいや成長実感は得られる

添乗員の仕事を通じて得られる最大の魅力は、「人に喜ばれる」というやりがいです。ツアーの終わりに「ありがとう」「あなたがいてくれてよかった」と言われた瞬間、それまでの疲れが一気に吹き飛ぶという人も少なくありません。

また、スムーズにツアーが終わったときの達成感は、他の仕事ではなかなか味わえないものです。準備から運営、トラブル対応まで一貫して担当するからこそ、自分の成長をダイレクトに感じられます。

とくに印象的なのは、リピーターのお客様に「またあなたのツアーに参加したい」と言われたとき。名前を覚えてもらい、信頼関係が築けたときの喜びは、添乗員としての誇りにもつながります。

実務を通じて身につくスキルも非常に多彩です。接客力、段取り力、イレギュラー対応力、プレゼン力、語学、危機管理…。こうしたスキルは、どんな職種でも活かせる「社会人基礎力」として、自信にもなります。

プライベートや心の余裕は奪われがち

やりがいを感じられる一方で、添乗員の仕事には「犠牲になるもの」もあります。その代表例が、プライベートの時間です。ツアー中は朝から晩まで対応が続き、数日〜1週間家に帰れないことも多く、「休みの日に体力を回復させるだけで終わる…」という声もよく聞かれます。

友人や家族との予定が立てにくく、恋人とすれ違いが続いた結果、関係がうまくいかなくなったという話も珍しくありません。特に土日・連休・年末年始といった“世間の休み”が繁忙期になるため、一般的な働き方とのギャップを感じる場面は多くなります。

また、精神的なゆとりも奪われやすいです。常にお客様の顔色をうかがい、何かあれば自分のせいになるプレッシャーの中で働くため、オンオフの切り替えが難しく、「家に帰っても頭がツアーから離れない…」と悩む人も。

さらに、自由時間や趣味に没頭する余裕も削られていき、「何のために働いているのかわからなくなる」と感じてしまうこともあります。添乗員という仕事に情熱を注ぎすぎるあまり、気づけば“自分の人生”が置き去りになっていた――そんな人も少なくありません。

仕事と私生活のバランスが取りづらい現実

「旅のプロなのに、自分の旅行には行けない」――これは実際に多くの添乗員が抱えるジレンマです。観光に携わる仕事なのに、働き方はブラックになりがち。だからこそ、キャリアを続けていくうえで、自分の生活や心の余裕をどう守るかが重要になってきます。

まとめ：辞めるか続けるか、自分に合った選択を

添乗員の仕事は、一見すると「華やかで楽しそう」な印象を持たれがちですが、実際には体力・気力・気配りの連続で、想像以上にハードな一面があります。やりがいや成長を感じられる反面、報われなさや疲弊感を抱えてしまう人も多いのが現実です。

続けるべきか、辞めるべきか――迷っているなら、まずは自分の心と身体の状態にしっかり向き合ってみてください。そして、「このまま我慢し続けた先に、明るい未来があるか？」を冷静に考えてみましょう。

もし、「今は限界だ」と感じているなら、それは逃げではなく“自分を守る選択”です。転職もキャリアチェンジも、人生を豊かにするための前向きな一歩。これまで添乗員として頑張ってきた経験は、どんな道に進んでも必ずあなたの力になります。

この仕事を選んだことも、辞めるという決断も、すべてあなたの人生の一部。どうか自分を責めず、より良い働き方と生き方に向けて、自分らしい選択をしていってくださいね。

よくある質問

添乗員は本当にやりがいのある仕事ですか？

はい、やりがいは大きいです。お客様の「ありがとう」に直接触れられる職業であり、自分自身の成長も実感できます。ただし、体力や気配りが必要なため、自分に合っているかどうかは慎重に見極めることが大切です。

添乗員を辞めたあとのキャリアはどうなる？

添乗員で得たスキルは多くの業界で活かせます。旅行会社の内勤、接客・営業職、カスタマー対応、WEBライター、キャリアカウンセラーなど、多方面に転職可能です。人と関わる力、調整力は大きな武器になります。

辞めたい気持ちがあるけど、すぐに決断していい？

すぐに辞める必要はありませんが、限界を感じているなら一度立ち止まることも大切です。心身の状態、働き方、生活とのバランスを見直し、「本当に自分に合っているか」を判断材料にしてみましょう。