「もう辞めたい…」
新卒で入社したばかりなのに、そう思ってしまう自分を責めていませんか?
けれど、それ以上に悩ましいのは“親に言えない”という壁。
「甘えていると思われるのでは」「心配をかけたくない」――そんな思いが、さらにあなたを苦しめているかもしれません。
この記事では、親に退職を伝えにくい理由と、納得してもらう伝え方・心構えを丁寧に解説していきます。
- 新卒がすぐ辞めたいと思う背景と親に言いづらい理由を解説
- 親に相談せず退職すると起こるリスクを具体例で紹介
- 親を納得させるための伝え方・事前準備・心構えを紹介
- 自分の人生を大切にするための前向きな選択肢を提示
なぜ親に言い出せないのか?

「辞めたい」と思ったとき、真っ先に思い浮かぶのが“親への報告”。
しかし、その一言がなかなか言い出せない――そんな悩みを抱える人はとても多いです。
新卒での退職は「もったいない」「甘え」と受け止められることもあり、親世代の価値観と自分の気持ちとのギャップが大きな壁になります。
また、経済的な不安や期待へのプレッシャーから、「心配をかけたくない」「失望されたくない」という思いも強くなるもの。
なぜ親に退職を伝えるのがこんなにも難しいのか――その背景を丁寧にひも解いていきます。
親世代との価値観の違い
今の20代と親世代では「仕事」に対する価値観が大きく異なります。
親世代は「一つの会社に長く勤めることが正解」という時代を生きてきたため、「新卒で辞める=根性がない」と受け取られがちです。
特に、就職氷河期を経験した親御さんは「せっかく入れた会社なのに」と思いがちで、仕事に対する忍耐や安定志向を強く持っています。
そのため、あなたが抱えるしんどさや不安が伝わりにくく、真剣な悩みも「甘え」と誤解されてしまうのです。
世代間での“当たり前”のズレがあることを、まずはあなた自身が理解しておくと、対話のハードルも少し下がります。
「甘え」と思われる不安
「辞めたい」と打ち明けたときに返ってきそうな言葉――
「もう少し頑張ってみたら?」
「石の上にも三年って言うでしょ?」
こうした反応を想像するだけで、気が重くなる人も多いはずです。
とくに、親に対して“期待されている”と感じていたり、これまであまり反抗してこなかった人ほど、自分の気持ちを否定されることが怖くて、言い出せずに苦しんでしまいます。
でも実際には、「甘えたいから辞める」のではなく、「限界だから辞めたい」のが本音のはず。
その“本当の気持ち”を丁寧に伝える準備をすることが、第一歩になります。
経済的な心配をかけたくない気持ち
「辞めたら迷惑をかけるかも」と思って、言い出せない人も少なくありません。
奨学金の返済、家への仕送り、自分の生活費――これらを親が心配するのは当然です。
だからこそ、「辞めたい」だけでなく「辞めたあと、どうするか」までを伝える準備が必要です。
不安の根本には、生活の見通しが立たないことへの心配があります。
あなたが辞めたい理由だけでなく、「このままでは体や心がもたない」という“現状の危機感”と、「辞めたあとこうするつもり」という“未来の計画”を見せることで、親の受け止め方は変わってきます。
親に言えないまま退職するとどうなる?

「とにかく辞めたい」「でも親には言えない」――そんなまま、無断で退職を選んでしまう人もいます。
けれど、あとからそれが大きなトラブルや後悔につながることも少なくありません。
このセクションでは、「親に相談せず退職した場合に起こりやすい問題点」について具体的に見ていきます。
信頼関係の悪化や孤立感
親に何も伝えないまま退職してしまうと、あとで発覚したときに「なぜ相談してくれなかったの?」と責められることがあります。
親としては、「何も言われなかった=信用されていない」と感じてしまうのです。
また、黙って辞めたことに罪悪感を抱えたまま、孤独感に悩まされるケースもあります。
退職後の不安な時期こそ、支えてくれる存在が必要になるのに、家族との関係がぎくしゃくしてしまうと、精神的にも追い詰められやすくなります。
話しづらい気持ちはよくわかりますが、“後でバレるより、先に伝える”ほうが信頼関係を保ちやすいのは事実です。
経済的支援が得られないリスク
たとえば実家暮らしであっても、仕事を辞めたと知った途端、生活費の援助を打ち切られてしまうこともあります。
「勝手に辞めたんだから、自分でなんとかしなさい」というスタンスに切り替わる親も少なくありません。
一方で、あらかじめ話し合っておけば、「数か月間だけは支援する」「次の仕事が決まるまでは様子を見よう」といった譲歩が得られる可能性もあります。
何も言わずに退職してしまうと、必要な支援や理解を自ら放棄する結果にもなりかねません。
自分自身の罪悪感が続く可能性
「何も言わずに辞めたこと」を自分自身で後悔し続けてしまうことも、よくあるパターンです。
辞めるという大きな決断に対して、誰にも理解されないまま突き進むと、後になって“自分は間違っていたのかも…”と不安になるものです。
特に、親に対して後ろめたさを感じたままだと、その気持ちはしばらく尾を引きます。
だからこそ、辞めるかどうかの前に「相談する」「伝える」ことだけは、勇気を持って向き合っておくと、自分自身の心も守ることができます。
親を納得させる伝え方とは?

「辞めたい」と伝えるだけでは、親にとっては突然すぎて受け入れがたいものです。
反射的に反対されたり、「甘えだ」と決めつけられることもあります。
ここでは、親に納得してもらうための“伝え方のコツ”を、順を追って解説します。
感情的ではなく“事実”を伝える
親に話すとき、一番大事なのは「冷静さ」です。
「もう無理!辞めるしかない!」という感情だけで伝えてしまうと、親も感情的になりやすく、話し合いになりません。
まずは、今の仕事でどんな問題があるのかを事実ベースで伝えましょう。
「上司の叱責が毎日続いていて精神的に限界」
「残業が多く、睡眠時間が取れない」
「体調を崩しても出勤せざるを得ない状態」
など、具体的な状況を挙げると、親もイメージしやすくなります。
“辞めたい”という感情の裏にある「理由=現状」を明確にすることが、説得の第一歩です。
ポジティブな理由で話す
「辞めたい」とだけ言ってしまうと、どうしてもネガティブに受け取られがち。
そこで、少し視点を変えて「前向きな退職理由」を添えるのがポイントです。
たとえば、
- 「今の仕事では体調が続かず、長期的に働けないと思った」
- 「もっと人と関わる仕事がしたくなった」
- 「自分に向いている仕事を探したいと思った」
など、“将来に向けた決断”であることを伝えましょう。
親は「辞める」ことよりも「辞めたあとにどうなるか」に不安を感じているので、前向きな言葉に置き換えることで、受け入れやすくなります。
「辞めた後」の具体的なプランを提示する
「辞めたあと、どうするのか」を明確に話せると、説得力が一気に増します。
たとえば、
- 転職エージェントに相談して職探しを始めている
- 資格取得に向けた勉強を始めている
- 生活費は○ヶ月分の貯金がある
といったように、「辞めた後の道筋」があると、親の不安もやわらぎます。
逆に、「とりあえず辞めてから考える」という姿勢では、納得を得るのは難しいかもしれません。
辞めたい理由と、辞めた後の計画はワンセットで伝えるようにしましょう。
親に理解してもらう工夫と準備
ただ気持ちを伝えるだけでは、親の不安や心配は消えません。
大切なのは「退職の意思」だけでなく、「その後どうするか」という“見通し”を提示することです。
このセクションでは、話し合いの前にしておきたい準備と、理解を得るための工夫を紹介します。
退職前にキャリアの再設計をしておく
「もう無理」と感じたとき、つい“今を逃れたい”気持ちが先に立ってしまいがちです。
しかし、親に説明するには「これからどうするか」がとても大切。
まずは自分自身で、今後のキャリアプランをある程度考えておきましょう。
向いている仕事の方向性、興味のある分野、再就職に必要なスキルや資格など、調べたり整理したりする時間を持つことが、説得力のある会話につながります。
事前に行動を起こしている姿勢を見せるだけでも、親の受け取り方は変わってきます。
第三者(キャリアアドバイザー・信頼できる親戚など)の協力を得る
どうしても親との対話が難しいときは、第三者の存在が力になります。
たとえば、キャリアカウンセラーや転職エージェントの話を借りることで、「これは個人的なわがままではなく、専門家の意見も参考にしている」と伝えられます。
また、信頼できる親戚や兄弟など、あなたと親の間に立ってくれる人がいれば、気持ちの橋渡し役になってもらうのも一つの方法です。
“親子だけで完結させようとしない”ことも、大きなポイントです。
感謝と尊重の気持ちを忘れずに伝える
どんなに伝え方が理論的でも、「親を軽視している」と感じさせてしまうと、関係は悪化してしまいます。
退職を伝えるときには、「心配をかけて申し訳ない」「ここまで育ててくれて感謝している」という思いを、きちんと言葉で伝えることが大切です。
たとえばこんな一言が、親の気持ちをやわらげます:

お父さんお母さんの考えもわかるし、今までも応援してくれて本当に感謝してる。でも、自分の心と体のために、この決断をしたいんだ。
“気持ちの伝え方”ひとつで、伝わり方は大きく変わります。
新卒ですぐ辞めるのは本当に悪いこと?
「すぐ辞めるなんて甘い」「まだ早い」――そんな声に悩まされているかもしれません。
でも、本当に“新卒で辞める=悪”なのでしょうか?
実際のデータや、今の社会の流れを踏まえながら、新卒退職に対する誤解と現実を整理していきましょう。
市場データから見る「早期離職」の現実
「新卒で辞めるなんてありえない」と思われがちですが、実際には“早期離職”は珍しくありません。
厚生労働省のデータによると、大卒新卒者の約3人に1人は3年以内に離職しています(※令和4年雇用動向調査)。
つまり、あなたと同じように「思っていたのと違う」「体や心が限界」と感じて辞める人は、決して少なくないのです。
大切なのは、「辞めることが悪い」ではなく、「辞めたあとをどうするか」。
社会全体の価値観も少しずつ変わってきており、早期退職が“人生の終わり”ではないという認識が広がっています。
20代の転職はやり直しが利く
20代は「やり直しが利く年代」です。
経験が浅くても、ポテンシャルや柔軟性を重視して採用する企業も多く、第二新卒向けの求人は年々増加傾向にあります。
また、転職エージェントやキャリア支援サービスでも、20代のサポート体制が特に充実しています。
若いうちに方向転換をしても、将来に大きな影響を与えることは少ないどころか、むしろ“早めに気づけた”という強みにもなります。
一つの会社に縛られすぎず、自分に合った環境を探す柔軟さは、今の時代においてはむしろ評価される傾向です。
自分の人生を大切にする選択として考える
親や周囲の期待に応えたいという気持ちは、決して悪いことではありません。
でも、それで心や体を壊してしまったら本末転倒です。
退職とは、逃げではなく「自分の人生を守る選択肢」のひとつ。
そして、どんな決断であっても“自分で決めた”という軸を持つことが、後悔しない人生につながっていきます。
「合わない環境から離れる」ことは、自分を見捨てることではなく、よりよい未来へのステップです。
親を納得させるためにも、まずはあなた自身が“自分の決断を肯定できること”が何より大切です。
まとめ:親に言えない気持ちに寄り添いながら行動を
「新卒ですぐ辞めたい」と感じているあなたは、甘えているのではありません。
自分の心と体が限界を迎えていることに、ちゃんと気づけているだけでも立派なことです。
けれど、その気持ちを親に伝えるのは、とても勇気がいること。
「怒られるかも」「失望されるかも」と不安になって当然です。
でも大切なのは、あなたの人生を親の期待だけで決めてしまわないこと。
親を説得するには、「冷静に伝える」「未来のプランを用意する」「感謝を込める」という3つのステップが有効です。
そして、あなたが自分自身の決断を信じていることが、なにより強い説得力になります。
どうか、“自分の味方”であることを忘れずに、一歩を踏み出してください。
Q&A:新卒だけどすぐ辞めたい時によくある悩みと親への対処例
退職を考えている新卒の多くが共通して抱える不安――それが「親への伝え方」に関する悩みです。
このパートでは、よくある3つの疑問に対して、具体的な伝え方・対処法をわかりやすくお伝えします。
「反対されたらどうする?」「甘えと思われないためには?」というあなたの疑問に寄り添います。
- 甘えていると思われそうで怖い…
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親は「辞める=投げ出す」と捉えることがありますが、「体調を崩しそう」「精神的に限界」といった理由は、あなたの命と人生を守るための決断です。
甘えではなく、“自己管理”や“自己責任”の一環として冷静に伝えることが大切です。無理に続けても体を壊す気がする。これ以上続けても会社にも迷惑がかかるし、自分を守るために今は離れたい。
- 親に反対されたらどうすれば?
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「何があっても辞める」と言い切ってしまうと、親は壁を感じてしまいます。
親の不安の根底にあるのは“将来への心配”です。そこで、専門家の意見や、実際の転職サポート実例などを交えて説明すると、納得を得やすくなります。例:「退職後はエージェントに相談して再就職を目指すつもり。20代なら第二新卒枠での転職も多いみたい。」
- 辞めたあとどうすれば納得してもらえる?
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親が一番心配するのは“無計画”な辞め方。
辞める前から、次のステップ(転職活動、資格取得、短期アルバイトなど)を準備していることを見せれば、信頼回復につながります。しばらくは貯金で生活しつつ、来月からキャリア相談を受ける予約も取ってあるよ。